『平常の賜物を尊ぶ』
聖書箇所:Tコリント人への手紙7章25〜35節
中心聖句:『むしろ、あなたがたが品位ある生活を送って、ひたすら主に奉仕できるようになるためです』(Tコリント人への手紙7章35節) 2023年4月30日(日) 主日礼拝説教完全原稿
私たちは、キリストの十字架の血潮によって買い取られ、この世界の外側に連れ出された一人びとりです。そこから神様は私たちをこの世に遣わし、その御心による御計画に従って、私たちに様々な役割を与えて下さっています。
神様が私たちに与えて下さる、持ち物や、能力、身分、金銭などは、全てその働きの為に与えられているものです。私たちはそれぞれ、派遣される場所に従って、もっとも最適な賜物に覆われながら、この世の中で生きるようにされているのです。
しかし、この世で生きようとする限り、私たちは、様々な騒乱に巻き込まれます。また、パウロが、伝道の合間にテントを作り暮らしていたように、私たちも自分の生活を保つ為に、この世で働き過ごさなければなりません。更に、危急などと呼ばれる緊急事態に陥った際には、自身の役目を果たす為に、混乱の中でも耐え忍び、生き延びる必要もあります。
今日の箇所でパウロは、コリント教会の未婚の人々に対して、迫りくる危急の事態、即ち、「差し迫っている危機」が近いので、今しばらくは結婚せず、現状を維持して耐え忍ぶようにと勧めています。それが、危急の時には、最も苦労せずに過ごせる手段であると、パウロは教えているのです。私たちは普段、神様からの恵みを喜んで受け取りながら、いきいきと過ごしていれば良いのですが、様々な困難が訪れる時に至っては、そのように過ごしていてはなりません。何故なら、「この世の有様は過ぎ去る」と書かれている通り、緊急事態の中では、この世界の常識や、秩序など、私たちが当たり前と思っているあらゆるものが覆るからです。
最近のコロナ禍や、ウクライナの戦争が良い例でしょう。この世の秩序が崩壊する際には、多くの理不尽が起こります。家族のいる人は人質を取られ、泣いている人は弱みに付け込まれ、喜ぶ人は、嫉妬によって虐げられ、買う人は、持っていると判断されて、略奪されるようになるのです。しかもその危機は、世間に深く関り、目立った者から順に降りかかってきます。
それに対応する為には、泣かず、喜ばず、所有していないようにふるまえとパウロが教えている通り、人々の目に留まらないように、息をひそめて、ひっそり混乱をやり過ごす必要があります。それ故、いたずらに現状を変更せず、現状を保つ心構えは、とても大切なのです。
私たちは、このような危急の事態に対応できるように、神様によって、普段から多くの賜物と訓練を受け、培われています。例えば、夫婦の信徒ならば、普段の生活の中で、お互いにどのように平和を保ち、かつ神様に仕えて奉仕するかについて、十分に話し合う事が出来ているはずです。ですから、危急の際にも慌てずに済みます。しかし、混乱する中で無理矢理に結婚する人はそうではありません。準備する時間も、話し合う暇もないままでは、到底、結婚生活や、信仰生活を成り立たせることは出来ません。それは、本人達にとって不幸なことではないでしょうか。それ故、パウロは危急の際には、平常の賜物を大切に用いるように勧めたのです。
主は全てを見通され、私たちに必要な物を予め与えて下さいますが、私たちは、それを軽んじ、危急の中でも自分の想いによって、いたずらに現状を変更しようとします。ここに人間の罪があります。私たちは、主から与えられた平常の賜物こそを尊ぶべきです。パウロの願いも、そこにあります。平常の賜物を尊び、品位ある態度で、主に奉仕出来るように努めましょう。
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